書籍「物欲なき世界」を読んで。今だから、とても興味深い本。

私は子供のころから国語が苦手でした。だから「読書感想文」の宿題は、まさに悪夢でした。

今は8/17、夏休み真っ盛り。私と同じような子供がいたら、ぜひ伝えたい。「まずは思いつくままに、なんでも書こう」と!

さて今回のブログ、初めて読書感想文を書いてみたいと思います。

物欲なき世界とネコ
ネコにはわからん世界。

いま(2021年に)読むことに意味がある本。

最近読んだ本、菅付雅信著「物欲なき世界」(平凡社) 。

ポイントは、出版日が今から約6年前の「2015.11.4」であること。

なぜそれがポイントかというと、「コロナ禍直前の空気感」がグイグイ伝わってくるからです。ちょうどそのくらいの年代に書かれた、時代のトレンドを先取りした書籍だからこそ、その「グイグイ感」があるのだろうと思います。

当然ながら、この本がその「グイグイ感」を狙って書かれたわけではないと思います。図らずも、そうなっているのです。私はそこにリアルなドキュメンタリーを感じました。

「ライフスタイル」というキーワード。

米国オレゴン州のポートランドで創刊された「KINFOLK」という雑誌で紹介された新しい潮流。これまでの大量生産・大量消費の激安商品に塗れて生活してきた私には、とても癒される世界観でした。メイカーズ・ムーブメントやDIYの発想。クラフトビールや自家焙煎コーヒーなどの人気も、このあたりに由来している様子が書かれています。

サードウェーブ・コーヒーというキーワードも出てきますが、ほんの5〜6年前のことなのに、なんと懐かしく感じることか!

そう、コロナの前はそんな感じでした!

しかし私はここで、「あの懐かしいコロナ前に戻したい」などと嘆きたいわけではありません。

「物欲なき世界」で報告されている時代が、いま人類が直面しているコロナ禍の出発点なのです。

例えば、現在の社会を「現在地」とします。そして「出発点」を確認します。

そうすると、なんとなくベクトルが見えてきます。

そのベクトルが見えれば、今後の進む方向も、おおよそ見当がつくのではないかと。

また、コロナ禍に対して世界がどのように反応してきたかを観察すると、やはり「6年前のあの空気感があったからこそ、そういう反応が起こったのではないか」という推測も可能です。

この本の面白さは、「今」読むからこそ感じることができるのではないでしょうか。

立派な人が書いている本に、モノ申す。

この本の著者、菅付雅信さん。雑誌の業界で長く活躍されている方のようです。(国語の苦手な私から見ると、想像を絶する才能に見えるのです。)

さすが雑誌の編集に携わっている方だからでしょう。時代の流れをよく見ておられるようで、取材の方向性にとても感心しています。内容もとても興味深い。

そんな方の書籍の内容に反論するなどという大それたことはできません。しかし最近私は、「自分の頭で考える」を意識していることもあり、やはり何か、自分なりの見解も持っておこう、という考えに至りました。

そんなわけで、私なりの見解を書いてみたいと思います。

まず、この本で紹介されている「ロハス」や「ミニマルライフ」について。

私も憧れているライフスタイルです。しかしながら、どうしても心の片隅に残っているものがあります。それが「100均ショップ」等の存在。その商品の殆どが、海外の安価な労働力によって作られたものです。

昨今、「我々の生活は豊かになった」とよく耳にしますが、もしかするとその豊かな生活は、そういった製品によって支えられているのではないかと思うのです。もし生活の全てを国内生産品のみで揃えたら、結構お金がかかり、その「豊かな生活」は実現できないのではないでしょうか。

おそらく平均年収を上回る収入があり、そこそこの資産を相続しており、子供のいない家庭であれば、「豊かな生活」は実現できるでしょう。しかしそれは「一般的」ではありません。

やはり「ロハス」や「ミニマルライフ」は私のような低収入の人間から見ると、憧れのライフスタイルであり、そういった羨望の眼差しが、マーケティング的成功の裏の要因なのではないでしょうか。ベンツなどの高級車のマーケティング戦略と類似しているのではないかと。

しかしこれらは、本当にロハスでミニマルな生活をしている人と深く接してみなければわからないことです。私のよくない偏見もあるかもしれませんので、そこは注意が必要です。(ぜひそういう生活をしている方とお友達になってみたい! 興味深々。)

またこの書籍「物欲なき世界」、後半では資本主義についても言及されています。著者の知見の広さが感じられ、本当に感心するばかりです。そしてその内容は、私も賛成・同意します。

しかしこれについても一応、私が「自分の頭で考えた」ことを書いておきたいと思います。

ひとつ私が気になったこと。

広井良典著『定常型社会 – 新しい「豊かさ」の構想』の内容が引用され、多くのことが述べられています。こちら↓の本、私は初めて知りました。

なんと、2001年に出版されている本なんですね!

20年以上も前から、このような構想を考えられていたというのは、本当にすごいことだと思います。素晴らしい!

さてこの「定常経済」ですが。。私なりにまとめると、、

経済成長を前提・目標とした社会に、多くの人が限界を感じている。だからそれをやめて、他の何かを目標にすればいいんじゃないか、と思うところではありますが、誰もその「何か」を見つけられずにいる。だから「定常経済」で進んでみてはどうか。

といった感じです。(適当ですいません。)

しかしこれについて、ひとつだけ私なりの見解も持っています。

それが「定常」という言葉。

私が最近偶然知ったのは、物理学の「定常波」という言葉。

簡単に説明しますと「前方向に進む波凸と、後ろ方向に進む波凹が、打ち消しあって、止まる。」といった感じでしょうか。

(詳しくはwikipediaをご覧下さい。→「定常波」) *ちなみに私はwikipediaに毎月寄付してます!

つまり定常とは、プラスマイナスゼロの状態、と言えます。

物欲で言うと、「物欲アリ」と「物欲ナシ」が打ち消しあってゼロになる、と言えます。

定常とは、打ち消し合いです。

これは仏教でも説かれているところの、「物欲はあってもいいけど、ほどほどにね。」という状態に近いと思います。(実際、仏像を見て、めっちゃアクセサリーつけてて、超物欲MAXの「ジャラ男」やん!とツッコミを入れる人もいるそうな。)しかし単に仏教だから正解と言いたいわけではありません。

この仏の教えを追加すると、定常経済とは「奢侈を控え、分相応の消費活動をしましょう」となります。

分相応ということは、「お金持ちはお金持ちで、それなりに。」ということになります。

つまりこれを突き詰めていくと、「株でじゃんじゃん儲けて、そのお金で高級品をバンバン買う」という人を否定するのではなく、お金を「増やす」&「減らす」の定常状態を作っている(ちょっと激しいが!)、と見ることもできるのではないでしょうか。

一方、物欲レスな生活とは、その欲望の波の高さ・速さが、すごく穏やかになっている状態なのであって、やはりそれも定常経済の一つの形態ではないかと。

そう考えていくと、資本主義というイデオロギーの否定は、無理が出てくるのではないかと。何か他の問題が隠れているような気がしてくるのです。

そう、物理学を応用すると、そんなことになってくるのです。

そこで提案。

いろんな妄想をしている私の頭の中で、なんとなく浮かび上がってくるのは、「ちょっと面倒そうだけど、全部ミックスして、コントロールしてはどうか」ということです。

いまの日本や米国は、資本主義&民主主義のイデオロギーミックスで、混乱ぎみです。しかしここは敢えて、さらに他のイデオロギーも包括して、適材適所、うまくやっていく高度な事務処理能力を社会に実装すれば、諸問題を解決できるのではないでしょうか。(強気で挑む!ということ。) 今ならAIでなんとかなりそうです。

更に、これはつまり「多様性を認める」ということでもあります。いま社会は「多様性」を認める方向で動いています。その「多様性」を人間だけに適用するのではなく、イデオロギーにも適用してみてはどうか、という提案です。例えば「資本&共産ミックス主義」のような。逆に見れば、イデオロギーの解体とも言えます。

しかしこれは、提案ではなく、妄想ですので悪しからず。。

妄想ですから、いくら大胆になっても、誰にも迷惑をかけません。(つまり私は「妄想主義」ということでしょうか。)

まとめ

今回初めて、書籍について私なりの考えを綴ってみました。

そもそも最近、知人から「最近、物欲無くなったよな。。」という話を何度か聞き、「そう言えば私も。。」と思うよになったのが、物欲について考えるきっかけでした。何しろ、物欲が無くなった私が、モノを販売して生計を立てようと試みているわけですから、企業として大きな矛盾を抱えていることになります。

このままモノを作り続けるのか、それとも否か。

起業して2年で、そんな岐路に立たされるとは思いもしませんでした。そう簡単に結論は出そうにありませんが、あまり先延ばしにもできません。

もっと「物欲」についてよく考察し、自分なりの一次回答を出したいと思います。

しかし波紋堂の活動は「全ては実験」というコンセプトですので、まだまだ続けていく所存です!!

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