全然儲かってないものづくり業界。でもそこに希望や魅力を見出してみる。
昭和に急成長し、平成に沈んだ製造業。
ものづくり業界には、疲弊したおじさん達が沢山います。私もかつてそのひとりでした。
しかしネガティブな面ばかり見ていても、何の得もありません。
でも、ただ「ポジティブだ!」と叫んでも何も変わりません。
あえて少し変な視点から、「前向き」「先読み」をしつつ、希望を見出してみよう、という試みです。
製造業は、海外の安い製品に負けます。
日本の製造業が衰退していると言われて、もう何年経ったでしょうか。
なんとか生き残っている会社もありますが、どこも疲弊していることでしょう。
なにしろ海外の製品は安いから、太刀打ちできません。
世のおじさん達は「なに! ○国製なんて、どうせダメに決まっている!」なんて言ってますが、もはやダメなのはどっちなのか見えてきました。
確かに品質が劣ると言われてきた海外製品も、最近は結構良いと思います。
そもそも、たとえ粗悪品であろうが、ガンガン売りに出すその「勢い」。そこは日本の製造業に携わる人たちも、謙虚に見習うべき点かもしれません。
”日本製”を自慢しません。
弊社の商品は確かに Made in Japan ですが、それを自慢しようとは思いません。
実際に自慢できることは特にありませんが、一方で、自慢・慢心は、進化・成長を阻害する、と思っているということもあります。
いつの時代も、どんな人でも、やはり上手く行けば慢心しますし、それが原因で失敗することもあります。
それでこそ人間ですから、悪いことをしているわけではありません。ただビジネスですから、そういう人間の性を超越しようという試みも時には必要です。
(ちなみに弊社は失敗する余裕など全くありません。今はひたすら修行のように、ストイックに製品を作るしかありません。とは言え、失敗して失うものも大してありませんので、やはり失敗を恐れずに前に進むべきかもしれません。)
もはや頼みの綱は、お客さんの応援のみ。
昨今、「モノを買う」という行為に変化が起こっています。
現金からキャッシュレスになった、というお話ではありません。
その行為自体の変化ではなく、心理が変化していることに注目したい、というお話です。
モノを買う。。その意識が「お金を支払う」ではなく、「投票する」に変化してきているのです。
「安い」「お得だ」「自慢したい」という意識でモノを購入していると、いつの間にか、自分の欲望と虚栄に縛られ、自ら苦しみの道へ進んでしまいます。
そしてもう皆さん、買い物中に「何を買おうかな?」と悩んでいる瞬間に、ふと気づくようになってきているのだと思います。
そのことは、製造業側から見ますと、
衰退の一途を辿っている日本の製造業に、ようやくひとつ希望が見えてきた、という感があります。
海外製品のように、「安さ」や「お得感」はとうてい出せませんが、もしかするとお客さんが「一票を投じてくれるかも」という期待です。
一票を投じてもらうことも簡単ではありませんが、唯一、生き残る道はそこなのではないかと思えてきます。
日本から輸出できるのは「文化」
モノをたくさん輸入している日本。もはや輸入品無しでは生活できないところまで来ています。
昔は輸入品が珍しいくらいでしたが、今となっては、国産のものは「日本製」などとわざわざ表記するほどです。
日本はいままで、材料を輸入→国内で工業製品を作る→輸出、という大きな流れでビジネスをしてきました。今でもトヨタ・ホンダが日本のトップ企業ですから、この構造は変わっていないと思われます。
しかし車の産業も今後は変化していきそうです。
車以外に、輸出できるものはないのでしょうか。
そこで私が考えたのは「文化」です。
「文化」は、なかなか他国が真似できるものでもありません。国内で自然発生的に生み出され、醸成される「文化」。
これは輸出できるのではないかと思ったのです。
でもいわゆるサブカルの、アニメとかポケモンだけを指しているわけではありません。
もっとモヤっとしている「文化」です。
抽象的なものは難しい。
でも日本に住んでいるということは、それが常に身近にあり、観察できる立場にいます。そのメリットを最大限活かしたほうがよいと思うのです。
なかなか難しいですが、これは取り組めばすごく面白いことになるのでは、と私は思っています。
元々ある「文化」、今育っている「文化」→融合!
日本に元々ある「文化」と言えば、縄文文化や、「侘び・寂び」などの茶道などからくる文化。その他いろいろ。そんなイメージです。
しかし比較的新しい、昭和の文化はまだきちんと編纂されていないのではないかと思います。
私は長年、製造業の仕事をしてきましたが、実はこの中にも文化があります。
それは一般に「職人技」と言われるものの中にある精神性のようなものです。(とても抽象的!)
見た目にわかりやすい「昭和レトロ」なデザインなどは愛好家がたくさんいますが、「精神性」となるとなかなか難しい。
これに名前を付けるとするなら、「昭和職人精神文化」でしょうか。
特徴は例えば「性能至上主義・見た目は後回し」です。見た目の良さなんて考えない。売れるかどうかなんて考えない。とにかく性能が第一。
見た目や売れ行きを「考えない」くらいであればまだ良いのですが、そこに職人の荒っぽさが加わると、それらを攻撃・迫害さえするので結構大変です。(だからこそ、今まで表に出なかった。)
私も若いころはそういったことに反発してきましたが、今となってはまるで「消えてしまった無形文化遺産の思い出」といった感じです。
結果的に、見た目には酷いものができたりもしましたが、それはそれで「風情」として、さらに言えば「文化」として残ったものもあります。
一方、今の時代、アートやデザインの知識は大量にネット上に溢れ、多くの人たちのリテラシーも高まってきました。以前のように、限られた特別な人だけが担うものではなくなり、一般の人でも充分なクオリティのものも作れるようになってきました。
そこで私が考えたのは「昭和職人精神文化」をアートやデザインで解釈してみることです。(職人さんに叱られそうですが。)
さらに、縄文文化や侘び寂び文化が底辺で流れているような精神を持ち込んでみたい。
つまり過去の文化と、今育まれている文化の融合です。
ちょっと盛りだくさん過ぎかもしれませんが、実際に自分が置かれている立場や生活は、そういった混沌の中にありますので、自然と言えば自然なのです。
時期尚早。早過ぎて失敗か。
私がよくやってしまう失敗。それが「あと5〜10年遅ければ、、」という失敗です。
早過ぎて、誰にも理解されず、そのまま萎えてしまうという失敗。
でもそこは歳の功。今までと違い、ひとりでコツコツと、生きている限り5年でも10年でも続けられそうです。
それはもはや「覚悟」と言ってもいいかもしれません。
趣味や個人事業主ではなく、法人にしたことがその継続の基盤になっているとも言えます。
ちなみに私が大好きな作品↓
カズヤシバタさんの【デルモンテ2020】。
例えばこの作品、これを全くゼロから作ろうとすると、おそらく3年くらいはかかると思います。電子回路の理解・部品の選定・構造設計・3Dプリンタの扱いなどなど、あらゆる知識が必要ですので。もちろん外部委託すればもっと短期間でできますが、その費用を稼ぐのにどれくらいかかるのかわかりません。
やはり多くの人に注目されるようなものや、誰かに喜んでもらえるものを作るには、「地道な継続」が欠かせません。
今は「早すぎる」ことも、いずれは「唯一無二」となる可能性があります。
ここはめげずに頑張るしかありません。
まとめ
時代の流れは日々加速度を上げています。
いま全くうだつの上がらないものづくり業界も、もしかすると良い方向に向かうかもしれません。
ものづくりかどうかは別としても、
・誰も注目していないからこそ、チャンスがある。
・ハイリスク、ハイリターンのものは、一般の人から敬遠される
というのは世の常です。
そう考えると、まだまだ、ものづくり業界には希望があるのではないでしょうか。
ここまで記述してきたこと、取り止めのない話題で皆さんを疲弊させてしまったかもしれません。
でもここでザックリまとめると、「ウチは自虐ネタ+興味あるネタ、で、コツコツ進めてます」ということです。
これは未来型ものづくり業の、ひとつのコンセプト例です。
もっといろんな人が参入すれば、いろんな考えも出てくると思います。そういう動きが活発になれば、ものづくり業界は「おもしろい業界」になるはずです。
そして、まだ少数の人しか参入してない業界です。レッドオーシャンに見えて、実はブルーオーシャンなのかもしれません。
以上、まだこれからも希望を持ってコツコツと挑戦し続けたいと思います。
ではまた。
ちなみに希望ばかり膨らんでいる波紋堂のonline storeはこちら。
最近はなぜか楽曲もコツコツ製作しています。YouTube の波紋堂チャンネル